沖縄県政の刷新を求める会

翁長知事国連演説第3次訴訟

監査請求監査請求

監査請求

沖縄県監査委員殿

 

平成30年3月22日

沖縄県職員措置請求書

第1 請求の要旨
 翁長雄志知事が、平成27年9月21日のジュネーブの国連人権理事会で行った演説に随行した2名の県職員に対し、航空券変更手数料の名目で支出された沖縄県の公費50,000円を沖縄県知事は当該職員から返還及び翁長雄志知事から賠償請求を求めなければならない。

第2 請求の理由

  1. 平成29年9月11日産経新聞那覇支局配信の産経WESTの記事によると翁長雄志県知事が平成27年9月21日のジュネーブの国連人権理事会で行った演説について、それが沖縄県知事の資格でなされたものではないこと、それゆえ、翁長雄志知事による当該演説のために支出された交通費等の費用は、翁長知事の私費として支払われるべき性質を持つものであり、知事に団体の主張を依頼した民間団体ないしNGOが負担するか、翁長氏個人の私費で賄われる必要があると報じた。

  2. 報道によると、外務省人権人道課によれば、国連人権理事会の規定で演説が認められているのは、①非理事国の政府代表者、②国際機関の代表者、③国連経済社会理事会から認められた協議資格を有するNGOの3者に限定されており、地方自治体の首長は演説を行う資格を有していないとのことである。

  3. 平成29年10月25日知基第123号により情報開示された資料によると、翁長知事に同行した知事秘書の岸本義一郎氏に対し、交通費、日当、旅行雑費、宿泊料・食卓料、外国旅行雑費等の名目で金663,517円が支出されており、秘書課主査の阿波連貴夫氏に対し同様の名目で金645,017円が支出されている事が開示されたが、産経新聞が得た開示資料並びに知基第123号により情報開示された資料にも新たに判明した復路便の変更手数料及び払い戻し手数料は開示されていなかった。(産経新聞報道と知基第123号では、随行2名に支払われた金額はほぼ同額)

  4. 本年3月16日に開示された新たな資料によると復路便の変更手数料及び払い戻し手数料として岸本氏及び阿波連氏に合わせて金50,000円が支出されていたことが判明した。これも上記の理由により県の公費から支出することは不当であり、同行を依頼した翁長知事もしくは、知事に演説枠を提供したNGO等が負担するかもしくは当該職員の自己負担とすべきものである。

  5. 以上の事から、翁長雄志知事が、平成27年9月21日のジュネーブの国連人権理事会で行った演説に同行した2名の県職員に対し、新たに判明した復路便の変更手数料及び払い戻し手数料の名目で支出された沖縄県の公費50,000円を沖縄県知事は当該職員から返還を求めるとともに、翁長雄志知事から同額の賠償を求めるべきである。

上記のとおり地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。



監査請求監査請求結果

監査請求結果

平成30年4月17日

沖縄県職員措置請求書について(通知)

平成30年3月22日付けの沖縄県職員措置請求(以下「本件請求」という。)については、下記のとおり却下します。

 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める住民 監査請求は、普通地方公共団体の執行機関又は職員による違法若しくは不当な公金の支出、契約の締結等の財務会計上の行為によって、当該普通地方公共団体に損害を与え、又は与えるおそれがある場合に、その事実を証する書面を添えて、監査委員に対し、監査を求め、当該財務会計上の行為を防止又は是正するために必要な措置を講ずべきことを求める制度であることから、住民監査請求においては、特定の財務会計上の行為についての客観的かつ具体的な違法性又は不当性が示されることが要件となる。
 また、当該請求は、同条第2項の規定により、正当な理由があるときを除き、当該行為のあった日又は終わった日から一年以内に行わなければならない。

 本件請求において請求人は、沖縄県知事翁長雄志が平成27年9月21日にジュネーブの国連人権理事会総会で行つた演説に同行した県職員2名に対し、航空券変更手数料の名目で支出された沖縄県の公費50,000円を沖縄県知事は当該職員から返還及び沖縄県知事翁長雄志に対して賠償請求を求めるよう請求している。

 法第242条第2項の規定では、住民監査請求は財務会計上の行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは、住民監査請求をすることができないとされている。
 本件請求は、沖縄県知事翁長雄志が平成27年9月21日にジュネーブの国連人権理事会総会で行った演説に同行した県職員2名に対する、復路便の変更手数料及び払い戻し手数料50,000円を平成27年11月2日に精算払いとして支出したことが不当として平成30年3月22日提出されたものであるが、当該支出の日から約2年4ヶ月を経過しており、同項の要件を満たしていない。
 一方、同項ただし書きにおいては、正当な理由があるときとはこの限りでないとされており「正当な理由があるとき」とは、地方公共団体の住民が相当の注意力を持って調査すれば客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の存在又は内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に住民監査請求をした場合をいうと解するのが相当であるとされている。(最高裁平成14年9月12日判決)

 本件請求人3名のうち1名が、沖縄県知事翁長雄志が平成27年9月21日にジュネーブの国連人権理事会総会で行った演説に関して、平成29年10月13日付けで「支出された公費227万円の内訳とその詳細」などについて公文書の開示請求を行い、平成29年10月26日付け知基第123号で開示された。当該開示された公文書に基づき、本件請求人等は、知事の演説に同行した2名の県職員に係る交通費、宿泊費、日当、雑費等の名目で支出された沖縄県の公費1,308,534円について、沖縄県知事は、当該職員から返還を求め、及び翁長雄志知事に対して賠償請求を求めるよう請求を行った。当該請求について、当監査委員は、平成30年1月10日付け監第806号で、知事の国連人権理事会総会での演説が当時の新聞等のマスメディアで報道された時点においても、同行者に係る経費を含め、当該出張に係る一切の経費について開示請求をすることが可能であったと解されることから、財務会計上の行為があった日又は終わった日から1年を経過したことに正当な理由があるとは言えないと判断したところである。

 本件請求についてみると、知事に同行した職員2名の復路便の変更手数料及び払い戻し手数料50,000円の支出に係る開示が漏れていたとして、県が本件請求人のうちの1名に対して行った追加の開示(平成30年3月15日付け知基第223号)を受け、今回、請求人はこれを新たに判明した資料と主張し請求を行っているものである。
 本件請求についても、前述のとおり、新聞等のマスメディアで報道された時点で開示請求をすることが可能であったと解されることから、財務会計上の行為があった日又は終わった日から1年を経過したことに正当な理由があるとは言えない。

 よって、本件請求は、法第242条第2項の請求期限を経過しており、また同項ただし書きの正当な理由があるとは言えないことから、住民監査請求の要件を具備しているとは認められない。

 したがって、本件請求は、正当な理由がなく、請求期限を経過した不適法な請求として却下することを相当と判断した。


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