沖縄県政の刷新を求める会

翁長知事国連演説第2次訴訟

翁長知事国連演説第2次訴状訴状

訴状

請求の趣旨

  1. 被告は岸本義一郎に対し、金663,515円の返還を請求せよ。
  2. 被告は阿波連貴夫に対し、金645,017円の返還を請求せよ。
  3. 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める

 

請求の原因

第1 当事者

  1. 原告らは、後述する沖縄県職員措置請求を提起した沖縄県民である。
  2. 被告は、地方自治法1条の3第2項所定の普通地方公共団体である沖縄県の首長である。翁長雄志は、平成26年11月16日開票の沖縄県知事選挙で当選し、同年12月10日に被告の地位に就任して現在に至る。
  3. 岸本義一郎は被告付の秘書であり、阿波連貴夫は秘書課主査であり、いずれも平成27年9月21日にジュネーブで開催された国連人権理事会に翁長雄志と同行した。

第2 不当な公金支出

  1. 翁長知事の国連演説
     被告である翁長雄志は、平成27年9月21日にジュネーブで開催された国連人権理事会において普天間基地の移設問題に関し、沖縄人を先住民とする主張にのっとり、「沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされている」とする演説を行った。
     なお、「先住民」とは、「政治的に劣勢な地位にある集団で、その国の支配的な地位にある集団のものとは異なった、同じエスニック・アイデンティティを共有し、現在統治している国家が支配権を及ぼす以前から、その地域において、エスニックな実態をなしていたもの」と定義されている (Greller,1997)。
  2. 渡航費及び宿泊費
    1. (1) 被告は、翁長雄志の国連人権理事会での演説のため公金総額約227万円を支出しているが、そのうち翁長雄志の渡航費及び宿泊費を名目として沖縄県の公費から958,932円が支出され、同行した県職員2名の交通費、宿泊費、日当、雑費等を名目として沖縄県の公費1,308,532円が支出されていることが判明した。
    2. (2) 上記各支出はいずれも公金として支出する法的な原因がなく、その支出は不当である。従って被告は、上記各支出に係る公金の交付を受けた翁長雄志ないし同行した県職員2名に対し、不当利得として返還を請求すべき義務がある。
    3. (3) 翁長雄志の渡航費及び宿泊費を名目として支払われた958,932円に係る不当利得返還請求については、既に別の沖縄県民から住民訴訟が提起されていることから、本訴では、同行した県職員2名の交通費、宿泊費等を名目にして支払われた公金1,308,532円にかかる不当利得返還請求及び損害賠償請求について義務付けを求める次第である。

第3 住民監査請求

  1. 請求
     原告らは平成29年12月21日、翁長雄志による前記ジュネーブ演説が被告の公務ではなく、私人としての翁長雄志が行なった行為であり、従ってこれを目的とする翁長雄志のジュネーブ出張に同行した知事秘書の岸田義一郎に対して支払われた交通費、宿泊費等の公金支出663,515円及び同秘書科主査の阿波連貴夫に対して支払われた交通費、宿泊費等の公金支出645,017円の交付は不当であることを理由に、被告に対し、その返還を求める沖縄県職員措置請求を行い、同日、沖縄県監査委員に受理された。【甲1】
  2. 却下
     平成30年1月10日、沖縄県監査委員は、当該申立の対象とする公金の支出が地方自治法242条の2第2項所定の出訴期間である当該行為のあった日又は終わった日から1年を徒過し、かつ、出訴期間の徒過につき、正当な理由がないことを理由に当該請求を却下した。【甲2】

第4 本件監査請求の適法性について

  1. 新聞報道
    • (1) 平成29年9月11日産経新聞那覇支局(高木桂一支局長)配信の産経WESTの記事によると翁長雄志県知事が平成27年9月21日のジュネーブの国連人権理事会で行った演説につき、それが沖縄県知事の資格でなされたものではなく、それゆえ翁長雄志知事による当該演説のために支出された交通費等の費用は、翁長知事の私費として支払われるべき性質を持つものであり、知事に前記演説を依頼したNGOが負担するか、翁長氏個人の私費で賄われる必要があると報じた。【甲3】
    • (2) 同報道によれば、外務省人権人道課によれば、国連人権理事会の規定で演説が認められているのは、①非理事国の政府代表者、②国際機関の代表者、③国連経済社会理事会から認められた協議資格を有するNGOの3者に限定されており、地方自治体の首長は演説を行う資格を有していないとのことであった。

  2. 地方自治法242条の2第2項但し書の「正当な理由」について
    • (1) 出訴期間に係る地方自治法242条の2第2項但し書の「正当な理由があるとき」とは、「特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くせば客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができたと解されるときから相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである」とされている(最高裁第一小法廷判決平成14年9月12日民集56巻7号1481頁)
    • (2) 前記最高裁判例にいう「客観的にみて監査請求をするに足りる程度の財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができたと解されるとき」とは、当該財務会計上の行為の存在だけでなく、その違法ないし不当を基礎付ける事実も知ることができたと解されるときのことである。けだし、そのことを知らずして財務会計上の違法ないし不当を摘示して監査請求をすることはできないからである。
    • (3) 沖縄県監査委員会は、翁長知事が平成27年9月21日にジュネーブの国連人権理事会総会で演説したことは、当時の新聞等のマスメディアでも取り上げられており、その時点において原告らが情報公開請求等の手段を用いれば、原告らは住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができるものと考えられるとし、正当な理由があるとはいえないとしている。
    • (4) しかし、本件公金支出の不当性は、渡航費ないし宿泊費の支出の存在だけでなく、それが公務ではなかったという事実を知ることによってはじめて認識しうるものであり、翁長知事による国連人権理事会での演説が沖縄県知事としての公務ではありえないことは、前記新聞報道で言及されていた国連人権理事会の規定を知らなければ認識しえないものであるところ、普通地方公共団体の一般的な住民には前記新聞報道に接しない限り知り得ないことであるから、本件監査請求の「正当な理由」の有無は、前記新聞報道から相当な期間内に提起されたかどうかで判断されるべきものと解される。

  3. 小括
     原告らによる本件監査請求は、前記新聞報道がなされた平成29年9月11日から3カ月以上経過した同年12月21日に提起されているが、翁長雄志に同行した職員2名に支出された公費の内訳が判明する公文書の公表がなされた同年10月27日【甲4】から2カ月以内になされているのであるから、地方自治法242条の2第2項但し書きの「正当な理由」が認められることは明らかである。

第5 まとめ
 よって原告らは、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被告に対し、翁長知事の国連理事会演説に同行した知事秘書の岸田義一郎に対する663,515円及び秘書科主査の阿波連貴夫に貴史に対する645,017円の各不当利得返還請求の義務付けを求めて本訴を提起する次第である。

証拠資料

  1. 甲第1 沖縄県職員措置請求書
  2. 甲第2 却下の通知
  3. 甲第3 産経WEST
  4. 甲第4 公文書部分開示決定通知書

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